「創造する経営者」は、
1964年にドラッガーの書いた「世界で最初の経営戦略の本」。
この中の「13章 経営戦略」には、次のように記載されています。
① あらゆる企業が、中核となるもの、リーダーになれる領域を持ち、
専門化しなければならない。
② 専門化した後、可能な限り多くの成果を得るために、
多角化(拡大化)しなければならない。
経営戦略の第一歩とは「専門化する」ことであると、
ドラッガーは言っているのです。
専門化とは、競合他社と明確な差別化がされていること。
独自であること。
「○○専門」と銘打つこと。
これを顧客が認めれば、ブランド化してゆきます。
不倒会を通じて知る小さな企業の実態は、
「専門化することなく、戦略なき多角化を行い、経営資源は分散されている。」状況。
「戦略なき多角化企業」は、社員が増え、売上が上がるが、借金も増える。
そして、利益少なき経営に陥る。
いわゆる売上至上主義。
「1億円のときは十分な利益があったのに、3億になったら赤字になる」のです。
この「戦略なき多角化企業」が、
いきなり「小さな市場で一位」を目指すのは、むしろリスクが大きい。
戦略なき多角化を正し、専門化してゆくための方法が、【弱捨の戦略】です。
多数ある「製品、顧客、市場、流通、用途、地域」を現状分析し、
「大きな利益を生む、少数」に絞り込む。
【弱捨の戦略】の真の目的は、強いものに集中すること。
弱いものを捨てることで、
弱いものに使用していた経営資源(人、物、金、時間)を、強いものに投入する。
弱いものを捨てれば、経営資源が余る。
余れば、これを強いものに投入できます。
ただし、急速に進めるのではなく、
会社全体の利益を考慮しながら、徐々に変化させる。
利益が小さなものであれば、
不義理にならない形にしたうえで、思い切って捨てる。
「不義理にならない形」とは、
たとえば、十分に利益の取れる高い見積を出すこと。
利益を判断するには、可能な範囲で現状分析すべきだが、概算でよい。
弱いものとは、利益の少ないもの。
同じ利益ならば、苦手なもの、嫌いなもの、遠いもの。
利益の少ないものを捨て、多いものに集中する。
苦手なものを捨て、得意なものに集中する。
嫌いなものを捨て、好きなものに集中する。
遠いものを捨て、近いものに集中する。
これが、経営戦略の第一歩。
次に、専門化した領域で一位を目指し、拡大化すれば良いのです。
捨てる場合は、安易な判断をせず、覚悟をもって決断すること。
判断を間違えれば、倒産の原因にもなるのです。