梅﨑猛彦さんを偲ぶ

梅﨑猛彦相談役は、八起会の最も古い会員であり、事実上の副会長として、野口会長を支えて来られました。野口会長亡き後、現在も八起会が継続しているのは、梅﨑さんがおられたゆえです。

梅﨑さんは、令和2年7月17日(金)の早朝、肺気腫にて亡くなられました。享年88才。

本ページは、梅﨑さんを偲ぶと同時に、八起会に対する多大な功績への感謝の意を込め、梅﨑さんに関する情報を、以下にまとめました。

御葬儀の様子

令和2年7月21日(火)10時より、御葬儀が執り行われました。

八起会を代表して、小松先生、河澄さん、竹花の3名が参列させていただき、御花と香典を供えさせていただきました。

本来は、お葬式のみ参加させていただくつもりでしたが、ご子息の晴彦様から「火葬と食事にもお付き合いください。そのほうが父も喜びます。」とのお言葉に甘えさせていただきました。

晴彦様と奥様の京子さんより、梅﨑さんの生前の御姿を伝えていただきました。
以下、お二人からのお話の概要をお伝えします。

梅﨑さんは、亡くなられる一年前から、かなり身体を悪くしておられ、「大好きな八起会」に出られるないのが、とても辛そうだった。

京子さんとも仲が良く「とても良い義父であり、多くを学ぶことができました。もっと多くの時間、介護したかった」。

亡くなる直前に死を悟られたとき、「皆さらばじゃ」と遺書を書かれた。

「延命治療はいらない。人に迷惑をかけてまで生きていたくはない」という明確な意思を、医者にも伝えられ、その通りに逝かれた梅﨑さん。まるでサムライのような方でした。

梅﨑さんの戒名は「諦雲猛祐居士」。諦は悟り、祐は人を助けるの意味。
「悟りの雲に乗り、猛々しく人を助けた」。梅﨑さんに相応しい素晴らしい戒名と感じました。

 

梅﨑さん、人生を語る

2013年4月度例会にて、81歳の時に人生を語られた講演会。

 

以下、講演会の概要です。

・昭和6年12月23日、長崎諫早市に生まれる。
・4才で実の父親が亡くなった時から、人生の波乱万丈が始まる。
・乞食同然の生活。母は幼子を連れて海産物を売り歩く。
・母は再婚し、さらに3人の子供を産む。元々再婚先には6人子供がおり、計12人兄弟。
・母は再婚先を追い出され、子供4人と馬小屋を借りて住むことになる。
・苦しい生活でも、決してグチや泣き言を言わない母。その生き様が自分を作った。
・その後も、農機具小屋、牛小屋を借りて住む。雑草のような生活であった。
・学校卒業後、巻き網漁船に乗って働く。
・炭鉱でも働いたが、頭を打ち脳震盪を起こすなど、二度死にかける。
・必死になって働き、仕事をした。生活は豊かになり、周りの評判も変わっていった。
・周りから軽蔑され、バカにされたからこそ、努力した。あんた達のお陰と言った。
・仲の悪かった異父兄弟達にも「今あるのは、お前のお陰」と言われるようになった。
・その後、東京に来てダンボール会社を作り、倒産した。
・倒産の前年に八起会に入った。
・八起会がなければ、今日がなかった。相当の恩義がある。一番大切なもの。


梅﨑さんの講演後、野口会長の言葉です。


講演後に野口会長からお聞きした、梅﨑さんの倒産後。

「倒産後、駅の掲示板でシーリング作業員募集の広告を見つけた梅﨑さん。
年齢オーバー、技術も経験もなしのハンデを、熱意で押し切り、日給6000円の見習いとして採用。朝4時におきて自分で弁当をつくり、6時に出社し仕事を始め、夜は9時~10時まで働く。

小遣いは八起会の懇親会費1000円のみ。これを使ってしまうと、帰りは交通費がなく、秋葉原から板橋まで線路沿いに歩いて帰る。

まさに無一文からの再スタートながら、5年後には再び新居を購入した。これは「怪物」としか言いようがない。強い願いがあれば、事はなかば達せられたということである。

電車代も使わない梅﨑さんだが、上野の事務所には、ガス器具やテレビなどを寄贈された。ケチどころか、お金の使い方、お金の大切さをもっとも知っている人であり、その姿を通して、私たちに無言の教訓を残してくれた偉大な人。私がもっとも尊敬する会員の一人です。」

野口会長、梅﨑さんにインタビュー

37周年に際しての野口会長から感謝のインタビュー。最初が梅﨑さんでした。(2015/7/18)

37周年は、翌年に亡くなられた野口会長にとって最後の「周年記念」。本来であれば、その後も毎年、入会30年を越える会員にインタビューを行う予定でした。

 

野口会長の通夜にて

野口会長の通夜にて「会長代行」として語っていただきました。(2016/02/23)

 

今後の八起会について

2016年3月度例会にて、八起会を存続するか否かの瀬戸際。

当時は存続に反対の声も多くある中、梅﨑さんの強力な意思により、存続が決定しました。

 

30周年記念における講演

2008年7月8日。30周年記念における梅﨑さんの講演。

倒産の苦悩と自殺未遂、「怪物」と呼ばれた再起への挑戦。

 

本講演を文章化した内容が「物流ウィークリー」HPにございます。
以下をクリックしてください。

第288回:財産の全てが消滅

第289回:遠くから呼ぶ声は…

第290回:がむしゃらに職求め

第291回:何より家族養うため

第292回:皆に支えられ再始動

 

梅﨑さん揮毫の書

平成4年 野口会長に請われ、梅﨑さんが揮毫された「倒産の原因ベスト10」。
八起会事務所の一番良いところに掲げられた。テレビなどの取材では必ず撮影されたという。